続・深淵

 ~Day2~
 
私は朝からソワソワしていた。
彼女とは今日、2度目の来院で逢える予定だ。
「来週の同じ曜日、同じ時間でお願いします」
と言った彼女の言葉を信じていないわけではない。
私は彼女と会えない日々を悶々としながら過ごしていた。
帰宅してから後悔していないだろうか?
一時でも幸せを感じて欲しかったが 彼女の満足いくモノだったのだろうか?
考えても仕方ないとは分かっていても、彼女の事が頭から離れないのだ。
 
そして午後、予約のきっかり5分前に彼女はやって来た。
扉を開ける音に胸が高鳴ったが、平静を装い
『いらっしゃいませ』と笑顔で迎えた。
彼女は少し照れ臭そうに
「こんにちわ」と挨拶をしてくれた。
前回はリクルートスーツのような固めの服装だったが、今日は水色と白の爽やかなワンピース姿が眩しい。
 
いきなりマッサージには入らず、まずは座って話をする。
就職活動に前向きな気持ちで臨めている事や 良く睡眠が取れるようになったと報告してくれた。
一週間、ここに来るのが待ち遠しかったとも。
現時点において、これ以上ないほどの賛辞を貰えた。
確かに憑き物が落ちたように活気のある表情をしているし、今日の服装にも合点がいった。
それだけでも彼女を幸せにしたいとの私の気持ちが実った気がする。
 
『それではマッサージをしていきましょうか。また衝立の向こうにいるので・・』と言いかけると彼女が遮るように
「あの・・今日はマッサージのための下着を着けて来ていますので大丈夫です」
と言うと、私の目の前でそろそろと脱ぎ始めたではないか。
最初からそのつもりだったのだろうが、それでも躊躇するような表情も見て取れる。
背中に手を回しファスナーをゆっくりと降ろし、肩からハラリと抜け落ちるワンピース。
両手で優しく掴み、シナを作るように腰から足元へと下げていくとストッキング越しのショーツが露わになった。
片足を曲げ、ワンピースを抜き取った瞬間の彼女は息を飲むほどに美しい。
そしてストッキングに親指を掛け、スルスルと足先へとズラしていった。
これから目にするはずだった下着姿とは言え、彼女が目の前で脱いでいく様はスローモーションのように私の意識を惹き付けた。
挑発している?
いや、違う。
これは私に対してではなく、彼女が自身に向けたパフォーマンスだ。
一歩を踏み出す勇気をもう一人の自分で与えようとしているような そんな印象を受けた。
 
下着はスポーツタイプの上下セット。
前回、ここで選んだ物に形はとても似ているが大きく異なる点がある。
これでもかと言わんばかりの真っ白な生地なのだ。
見るからにスぺスぺしていそうなその下着により 自分の鼓動が聞こえるかと言う程に私を興奮させた。
着替え用の籠に脱いだ服を丁寧に仕舞う彼女が 此方にお尻を突き出す。
パンッと張った彼女の丸いお尻を ここぞとばかりに凝視していると、不意に振り返った彼女が視線に気付いた。
 
「そんなに見ないで下さい・・恥ずかしいです」
『どうか見て下さいとばかりに突き出されたので、遠慮なく瞼に焼き付けていたんですがダメでしたか?』
彼女の目を見ながら真剣に投げかけた。
「ダメではないですけど・・・」
彼女は思わず目を逸らし 両手で胸と腰を隠す仕草をした。
少し意地の悪い投げ掛けにも この反応である。
一体どこまで可愛らしいのか この人は。
仮に演技だとしたらやり手の役者だが、私の目から見ても自然としか思えない。
これが天性の小悪魔というモノなのだろうか。
 
彼女に一歩近付き、両肩を挟むように手を添える。
『とても美しいですよ』
彼女は俯いたまま
「いえ、私なんて全然キレイじゃないです」と答えた。
謙遜と言うよりは、本気でそう思っているようだ。
 
『客観的に見ても事実です。お世辞ではありません、本当に美しいと心から思って出た言葉です』
驚いたようにこちらを向き
「・・ありがとう御座います、あまりそういう事を言われたことが無かったもので・・・」
前回から何度も訪れている "抱きしめたくなる衝動" を堪えるのもまた大変である。
 
数秒の思わせぶりな沈黙の後、施術台に寝てもらった。
 
本心はもっと話していたい。
なんせ彼女とは2回目のコンタクトで まだ性的趣向をしっかりと把握出来ていないのだ。
もし彼女の望まない事や多少 嫌な事をしてしまっても、今の彼女では拒否の意思を示すようには思えないが 私の望みは彼女の幸せ。
ここからは前回にも増して観察眼が試されるかもしれない。
それでも既に彼女はヒントをくれている。
私の前で自ら下着姿になった事。
そして自然を装って私に向けたお尻。
露出とはちょっと違う、視姦を軸とした被虐の路線を追っていくのが正解だろう。
 
私は彼女が来院する前に立てていた予定を少しだけ変更する事にした。
 
まだ指一本触れない。
俯せで寝ているため自然と目は閉じているが 周りを確認しようと思えば出来る状態だ。
彼女の周りをゆっくりと歩き 観察しながら時折言葉を掛けてみる。
 
『前回は若干ですが乾燥気味だったお肌も今日はスベスベな様子ですね』
『肌艶がいい感じになっています』
『真っ白な下着がとても良くお似合いですよ』
 
彼女は反応しまいと堪えているが、言葉を掛ける度 少しずつ体に緊張が増しているのが伝わって来る。
真っ直ぐに伸ばした脚が僅かながらにモジモジしているのだ。
先週の事を踏まえて足先への刺激を想像しているに違いない。
その期待に応えるか、はたまた不意を突いて別の場所から始めるか・・・
 
考えた結果、彼女に言わせてみる事にした。
 
『どこから"始めて欲しい"ですか?』
「え・・と・・ 先生にお任せします」
『いえ、あなたのリクエストに応えたいんです。場所を指定して下さい』
「そんな・・・先生は時々いじわるですっ」
『伝わりにくいかもしれませんが、私なりのあなたへの愛情なんですよ』
愛情というワードに反応したのか、横を向いていた顔を完全に伏せてしまった。
足音を立てずに近付くと耳元で再度質問した。
 
『どこがいいですか?』
「ひっ ぁ、あの・・足の指からお願いします・・」
突っ伏したまま耳元を少し赤くしながら答える彼女は魅力の塊だ。
 
背中に手を添えるとツツツと指を這わせながら足元まで移動した。
途端に今までに無いほど全身に力が入っている。
 
『襲うわけじゃないんです、どうかリラックスして下さい』
この状況でリラックスと言うのも本来おかしな言い方だが、早くも気持ちが高ぶりつつある彼女は気付くまい。
「ぁ、はい。スミマセン」
 
ふと思う事があって一言添えた。
『1つだけお願いがあります。今日は スミマセンやゴメンナサイという謝罪は禁止という事で。
私はあなたを癒したいんです。あなたには ただ気持ち良くなる事だけを考えていて欲しい。あたなの嫌がる事をするつもりはありません』
「はい、スミ・・ぁっ あの待ってます」
つい、おかしなことを言ってしまったと思ったのだろう、施術台の端を握ってしまっている。
もし私がこの場にいなければ きっと足をバタバタさせていたに違いない。
人に点数を付けるようなナンセンスな事はしない性分だが、彼女に関しては100点満点だと言わざるを得ない。
 
今回は少し違うオイルを使う。
無臭のオイルとローションを独自に配合した物なので容器もプラスチック製だ。
強く握って ブリュッと音を立てて手にオイルを取る。
両手で足の裏から爪先まで満遍なくコーティングするが もちろん指は丹念にこねくり回す。
リクエスト通り足の指からスタートするが、最初からしつこいレベルの愛撫だ。
特に指の間にヌルヌルと這わすと、リラックスしている体のお尻だけがキュッと盛り上がる瞬間がある。
完全に突っ伏していた顔も横向きになり 全身で次なる刺激を待っている様子が分かる。
その受け入れ態勢は 同時に私への信頼と期待も意味する。
まだ2回目だというのに これは嬉しい限りだ。
 
彼女の期待に応え、その美しさを引き出すためにも前回以上に神経を研ぎ澄まとうと意気込む。
そのための無臭オイルだ。
親指と人差し指の間、人差し指と中指の間・・・
小指の間まで丁寧に丁寧に、またゆっくりとなぞり愛撫を続ける。
同じ動きのまま、彼女から発せられる匂いを嗅いでみる。
先週と同じ植物系のソープが香るが 無臭オイルを使っているため彼女の匂いと相まって よりリアルに感じられる。
その体勢のまま こちらを見れる角度で設置してある鏡を確認する。
彼女と目が合った!
が、トロンとした目は現実を見ていないかのようだ。
優しく鏡越しに微笑みかけると急に我に返ったのか 慌てたようにギュッと目を閉じてしまった。
彼女の行動から仕草まで、その全てが私の心を惹き付けて止まない。
幼稚な男なら 〈全部計算だろ〉などと中傷するだろうが彼女は違う。
心の欲求に素直なのだ。
あまりにピュアが故に美しく眩しい。
 
ここからは2択だ。
このまま彼女への愛撫を続け ひたすら快感へと誘うか、それとも時々この現状を認識させ彼女の羞恥心を煽るか・・・
難しい選択だが今日は前者を選んだ。
彼女のピュアさに絆された面もあるが、後者は彼女の性癖とズレた場合に集中が途切れてしまうリスクがある。
それはもっともっと彼女を理解して上での方が良いと思った。
 
前回は施術だったため、片脚ずつ行ったが 今回は可能な限りシンメトリな刺激を与えていく。
前傾姿勢になり両の脹脛をヌルヌルと撫で上げる。
圧力は極めて低い。
何度か撫で上げた後、今度は10本の指先だけで なぞり上げていく。
特に内側だ。
足を揃えているため、受け入れるには自ら少し開かねばならない。
だが、まだ開く様子は無い。
ならばと太腿へ手を伸ばした。
太腿の裏から間に掛けて入念に指を這わせていく。
閉じたままではあまり深くへは侵入できない。
何度か繰り返していると カタツムリより遅いペースでジワジワと開いて行ってることに気が付いた。
無意識に自然と開いているのか、羞恥心からこちらに悟られまいと ゆっくりと開いているのか・・・
私の意地悪な面が鎌首をもたげるように あえて彼女に言葉を投げ掛けた。
『いい子ですね、自ら足を開いてくれるなんて』
彼女は無言で額をグッと施術台に押し付けた。
現状を認識させない選択をしたはずなのに、つい自分の性癖に寄ってしまった。
しかしそれも まんざらではないようだ。
そして いい子にはご褒美が必要。
その自ら開いてくれた腿の間を私の指先が上下する。
指が往復する動きと同時に、腿の間に息を吹きかけた。
股間まで軽めに届く程度の勢いで。
顔を近付け匂いを確認したと思っただろう。
離さなくなった施術台を握る手から ギュッという音が聞こえてくる。
呼吸が意識に追いつかないのか 彼女が深めに息を吸って吐いた。

 
それを合図のように私の手は臀部へと更に上がっていくため、足元から施術台へと乗り 彼女の弾力のある脚は私の股間の下で再び閉じられた。
最初に褒めた肌の艶はオイルを抜きにしても本当にスベスベとしている。
大きめのお尻を私は両側から円を描くように撫で回した。
もう悟られないようにする必要は無い、遠慮なく親指はショーツの下へと潜り込む。
何という丸いお尻だろうか。
彼女の全てが可愛らしいが、特にこのお尻は一生忘れまいとギラギラとした視線で眺めた。
白いお尻に食い込むように真っ白なショーツが本当に絵になっている。
このまま腰にガッシリと抱き着き、頬擦りしたくなるが自分を抑え ひたすら彼女のお尻をヌルヌルと愛撫する。
 
十分にお尻を堪能した私は施術台を降り、仰向けになってもらう。
前回は彼女に聞いたが、今回は無言でタオルを畳んで彼女の目に乗せる。
暑めの空調も効いてか彼女は顔に薄っすらと汗を浮かべている。
その汗を舐め取りたい衝動を抑え彼女の腹部へとオイルを垂らした。
今回はショーツに付着しないように気を付けている。
狙いは言うまでも無い。
一通り腹部へと塗り広げたオイルはローションも混ぜているため手を離す際にやらしく糸を引く。
脇腹を指先でそーっとなぞってみた。
彼女が生唾を飲んだのを見逃さない。
気を良くして全体を撫でながら脇腹だけは指先でのソフトタッチにする。
腹部の中心には これまた可愛いお臍がこちらを見上げている。
流れの中で人差し指を入れてサッと離してみた。
チュパンッと小さな音がすると、彼女が口を開いて何かを言い掛けたが そのまま口を閉じてしまった。
果たして彼女に可愛くない部分なんてあるのだろうか?
 
おもむろに施術台に乗り、馬乗りの体勢になる。
『お食事は何時に取られましたか?』と聞くと、すぐに察したのか
「大丈夫です」とだけ答えてくれた。
私は片手は台で自分の体重を支え、もう片方の手を彼女の腹部に当てがった。
ゆっくりと押し込み私の手が彼女の中へと侵入していく。
感触具合からして どうやら今日は食事は一切取っていないようだ。
食い込んだまま 指だけを少しだけウネウネと動かしてみた。
思わず はわわっと両手で空中の何かを掴むようにもがいた。
途端に腹筋に力が入り、あえなく私の手は押し戻されてしまった。
 
『不快でしたか?』
「ぃぇ、すごく気持ち良かったんですが なんだか反射的に力んでしまいまして・・・」
『いずれ慣れるでしょう。胸の方に移りますね』
 
私はオイルを追加すると 彼女に馬乗りになったまま乳房の近くへと両手を這わせた。
乳房の周りを撫でながら親指で生地にオイルを付着させてみた。
やはりだ!
濡れると透明になるかの如く透ける素材だ。
当然だが彼女はこれを分かって選んできたはず。
この日のために購入したのか以前から持っていたのかは 後で聞いてみる事にしよう。
 
それではと、遠慮なくオイルを胸全体に大胆に垂らしていく。
周りから始め、段々と中心へと・・・
乳首までスケスケになった頃には彼女の口は半開きになっていた。
視界が無いまま想像の中で "露わになった自分の体を眺める私" を想像している事だろう。
だがまだ何もしない。
オイルボトルを置いてから私は存分に味わうため、彼女を見下ろしている。
照明をヌラヌラと反射させている体、下着に覆われているのに今やその姿を余すこと無く晒している乳房。
彼女の想像の中の私は彼女を凝視しているはずだ。
それは合っている、私の目は乾かんとする程に見開いているのだ。
内心 羞恥に見悶えているであろう彼女、その彼女を涎を垂らしそうに眺める私。
この空間の異質さは例えようも無い。
時間にして10秒ほどだったが 早く触って欲しいのか彼女は親指を握り込んでいる。
 
無言で彼女の乳房を支えるように両手をピッタリと添えた。
それだけで「うんっ・・・」と声が漏れる。
その淫靡な響きのきっかけは私を加速させた。
もっと時間をかけるつもりが指が先走るのだ。
両手で乳房全体を揉み上げながら親指は乳首付近まで往復する。
それに合わせるかのように彼女の呼吸も加速する。
吐息は僅かな声を伴い、私の聴覚と視覚が彼女の魅力に浸食されてゆく。
愛おしい、ひたすら愛おしい。
私の手の中にあるのは彼女の乳房だけだが、まるで彼女の全てを手に入れたかのような錯覚を覚える。
全体を揉みながら下着の上から両方の乳首を同時に刺激した。
首をのけ反らせ「ああぁぁぁぁん・・・」と一週間ぶりに聴くハッキリとした喘ぎ声。
たまらず全体と乳首への刺激をしつこいくらいに続ける。
部屋と私の耳にこだまする いやらしい声は途切れること無く響き渡り 時間を追うごとにその声は大きくなっていく。
「先生ぇ・・・」と呼び掛けられたが私は『美しい・・』という言葉しか出て来なかった。
「もっとしてください・・」
と求める彼女のエロティックなマントラは私の脳を痺れさせる。
あの清楚とも言える内向的な女性が自ら愛撫を求めているのだ。
その落差に私は感動し 極限まで彼女を悦ばせたいという衝動が更に私を突き動かす。
 
私は一旦施術台を降り、彼女の目に乗せたタオルを そのまま後頭部で縛った。
背中の下に手を差し込むと 上半身を起こすようにと促した。
その間に私は上着を脱ぎ捨てた。
シャツは着ていない、上半身は裸の状態だ。
施術台を跨ぐように彼女の後ろに座ると彼女の背中と密着させた。
驚く様子も無く、素直に私に背中を預け もたれかかってくれる。
その体勢でオイルを肩から乳房へと垂らした。
大量のオイルに覆われた彼女の乳房は ゼリーに閉じ込められたフルーツのように美しくその存在を見せつけている。
私は両腕をガッシリを前に回した。
後ろから彼女の頬に私の頬が重なる密着具合だ。
片腕はお腹を愛撫し、片腕は乳房の上を行き来する。
彼女の呼吸が近い、その熱を感じるほどに。
ネチャネチャという音は私を更なる高みへと昇らせ、両手で彼女の乳房を揉み上げた。
「ああぁっ」と首を反らせた彼女がこちらを向き、「はぁぁん」という声と共に私の耳を噛んだ。
ゼロ距離で彼女の喘ぎ声が私の耳奥に届く。
何という幸せか!
このまま1つの体へと融合してしまいたい。
思わずブラの中へ手を滑り込ませ乳房を我が物とした。
再び耳から脳へと響き渡る彼女の喘ぎ声。
たわわな彼女の乳房と硬くなった乳首をひたすら愛撫する。
「あはぁっ はぁっ」と止まる事の無くなった甘い響きは彼女の体臭と合わさって 2人の空間を包み込む。
乳房をしっかりと覆ったまま手を止め、全ての指だけで乳首も乳房も全体を愛撫する。
「ん~ん~」と唸るような声へと変化した。
時に脇腹も愛撫し、時に両手でこれでもかと乳房を愛撫する。
オイルとお互いの汗にまみれ、ヌルヌルになった体が擦れ合い、2人とも軟体動物になったのかと思う程だ。
彼女の呼吸と喘ぎ声が次第に大きくなっておく。
首がのけ反った瞬間、両方の乳首を痛くない程度に摘まみ上げた。
口を大きく開け
「あー!ダ・・ッ・・」と言葉にならない言葉を発する。
そのまま掌は乳房を揉み、指先でコリコリと摘み続けながら 彼女の首筋へと舌を這わせる。
チュルチュルと音を立て、彼女の汗を吸い取りながら今度は私が彼女の耳を噛むと
「・・クッ・・・」と言うや否や彼女は大きく首をのけ反らせ全身に力が入った。
数秒後、乳首を解放すると同時に脱力する体。
どうやら ほんの軽いオーガズムを感じたようだ。
しばらく彼女をしっかりと抱きしめる。
体は脱力してもハァ・・ハァ・・と息をする彼女の乳房と周辺を優しく撫でてから そっと寝かせて施術台を降りた。

まだだ。
意識が冷めてしまわない内に私は次の行動に出る。
彼女の足元へ移動すると、再び足先を触った。
足先を愛撫してもらえると思って再びリラックスしかけていた彼女だが 私は指を口に含んだ。
その瞬間、何をされているか理解した彼女は顔を上げ
「そんな!汚いですっ!」と私を制止しようとしたが
『あなたに汚い所なんてありません』と間髪入れず私の方が彼女を制止した。
片方の指を舐めてる間、逆側の足は手で指を愛撫する。
親指全体を口に含み、表も裏も舌で愛撫する。いや、私が味わうと言った方が正解だ。
目だけでチラリと彼女を確認すると両手で顔を隠している。
だが、その手の間から声は漏れ お腹は波打っている。
そして指の間。
舌全体で指を舐めながら舌先は間を下から上へ、上から下へとなぞる。
相変わらずお腹は波打っているが、体全体はダラリと力が抜けている。
たまらない、彼女は溶けているのだ。
私は喜びに浸りながら同時に激しく興奮していた。
舌は長い方ではないが、男の口の大きさを利用し 親指以外の4本を一気に口に含んだ。
歯を当てないように舌は4本の指を裏から嘗め回す。
そのまま指の狭い隙間に舌を捻じ込む。
先程までとは違い、激しくないフワフワと浮いてるかのように滑らかに悶える彼女。
5分以上は舐めていただろう。
オイルに覆われ酸味を含んだ匂いを発していた彼女の足は今や私の唾液にまみれている。
 
無言で移動し、彼女の両膝を曲げるとそのままガバッと倒した。
これ以上ない程のガニ股である。
反射的に彼女の口から 「あっ・・」と声が漏れた。
ピッチリとしたショーツを履いているというのに、内腿にまで愛液が付着しているではないか。
染みているだろうと思われた秘部はそれどころの騒ぎではなかった。
オイルは付いていないよな・・・?と無言で周囲を確認した程だ。
私は思わず 『こんなに・・』と声に出してしまっていた。
言わんとする事を十二分に理解している彼女は
「だって先生が・・・」と弁明するのが精一杯だ。
見下ろす私と 手で口元を隠す彼女。
足を閉じようとする動きを察知し、膝を押さえ無言で舐め回すようにガニ股の彼女を眺めた。
10秒ほど経過した頃に彼女がたまらず小さく問いかけてきた。
「あの・・先生・・」
私は彼女の耳元で
『嬉しいです、こんなにビチャビチャになってもらえて』と、明け透けに囁くと
「いやっ 私じゃないです!」と、やや意味不明な言葉が返って来た。
いい具合に頭の中が醸されてきているようだ。
わざと彼女に聞こえるよう音を立てて秘部の匂いを吸い込んだ。
「そんなっ やめてください」と手でも嫌々をするように示したが本心では違うだろう。
足の匂いを嗅ぐ時は受け入れたのを踏まえて分かる。
まだ彼女は自分の中で二の足を踏む時がある。

『最初に言ったように あたなたの嫌がる事はしません。"本当に" 嫌ですか?』
彼女自身の言葉にさせるためハッキリと問うた。
「その・・あまりに恥ずかしくて・・ 先生の好きにしてください」
まだ暈した言葉だったが、今はこれで良しとしよう。
あとは私が行動で背中を押す。
 
彼女の両足を持ち上げ施術台に乗った。
正常位の形まで開脚させると自分で両足を抱えるよう指示した。
彼女はもう気付いているのだろう、次に私が何をするのかを。
目の前にはドロドロに愛液を吸収し、見事に秘部を透けさせているショーツがある。
もし少しズラして隙間を作ったら流れ出て来るのでは?と思うくらいに分泌している。
私は彼女の太腿を支えて迷わず顔を突っ込んだ。
鼻の向こうからグシュッという音と感触が伝わって来る。
「んんっ!」と声を押し殺す彼女。
私は顔を突っ込んだまま 一気に肺の奥まで吸い込んだ。
もう拒否の様子も見せない。
また吸い込む、更に吸い込む。
しっかりシャワーを浴びて来たのだろうが、有り余るほどの愛液と十分に満たされた熱気による汗とで 彼女の秘部は私の脳を興奮させる匂いを十分蓄えていた。
香しい!これが彼女なのだ。
再び顔を突っ込み、無我夢中で彼女の匂いを取り込んだ。
口から目一杯吸い込むとショーツの向こうからブシュッという音と共に愛液が私の口に飛び込んで来る。
繰り返すとジュブジュブと立つ音が 私の動きに比例して増している。
 
「先生・・・私もう・・」
それだけで十分にわかった。
私はショーツに両手を引っ掛け、裏返すようにスルスルと抜いた。
性器から離れる際、見せつけるように糸を引く透明な分泌液。
右足だけ抜いて、ショーツは左足に引っ掛けたままだ。
 
改めてグッと両足を持ち上げると そこにはいやらしい泉が待っていた。
性器という物は構造上 美しい造形物とは言い難い、しかし快感を求め涎を垂らすその姿は淫獣としての 淫らな美しさを放っている。
待っているのだ次の快感を。
「お願いです・・はやく・・・」
求める彼女の淫獣にもう一度 顔を突っ込んだ。
同時に大きく喘ぎ、抱えた足を離しそうになる彼女。
私は顔の半分を愛液でベトベトになりながら匂いを嗅ぎ 舐め上げた。
舌をなるべく広げ、大きな範囲を下から上へ ベロベロと数えきれないほど舐め上げた。
もう我慢しようともしない淫靡な喘ぎ声が院内に響き渡る。
絶え間なく分泌される愛液を逃すまいと 私の舌が絡め取る。
一滴も残さず私が吸収するのだ。
次第に喘ぐ声が大きくなってきたタイミングで それまで鼻で刺激をしていたクリトリスを中心に舐め回す。
一気に快感を登り詰め
「ああぁっ イクッ!」と体を震わせたが、私の愛撫は一切止まらない。
構わずにひたすら舐め続ける舐め続ける。
そのまま指をジワジワと入れてみた。
だが大量に分泌された愛液で 私の指は飲み込まれるようにスルスルと入った。
既に喘ぎ声は変化も分からない程に乱れに乱れている。
Gスポットの位置は個人差があるが、探し当てるのは比較的容易だ。
最も反応のいい所を指の腹で刺激しながら 口は舐める事をやめない。
それまでより一際大きな声で
「ダメェ またイッちゃうぅぅ」と叫ぶと全身が硬直したように止まった。
その間に愛液をジュルジュルと音を立てて吸い取る。

やや朦朧としている彼女が
「今日は安全日なんです・・」と告げた。
そのための一週間だったのか!
一言で全てを悟った私は彼女の性器を舐めながら器用に片手でズボンとパンツを一気に脱ぎ捨てた。
そしてまだ彼女の膝に掛けたままだったショーツを手に取ると迷わず頭から被った。
ちょうど鼻まで隠れる位置まで。
きっと彼女ならば分かってくれると期待し、視界を遮断していたタオルを解いた。
彼女は想像すらしていなかったはずだが、私の姿に驚いた様子も見せず
「先生、やらしい・・・」と恍惚の表情で呟いた。
いつの間にか彼女はブラをズリ上げていた。
私の屹立は限界までパンパンに膨れ上がり、彼女の性器に触れていた。
彼女は いきり立った私の屹立に触れると
「こんなに・・・嬉しい」と、向かうべき場所に欲しがるように当てがった。
ヌルリと先端が入ると
「んあっ!」と両手を私に向かって伸ばす。
私の怒張はゆっくりとゆっくりと入っていく。
それに合わせるように「はぁぁぁぁぁぁ・・」と歓喜の声が伸びる。
一番奥へと到達すると彼女に覆いかぶさり 強く抱きしめた。
今のこの瞬間がいつまでも続いて欲しかった。
腕の中にいる淫靡で美しい人と私は繋がったのだ。
物理的というだけではない。
まさに精神が繋がっているという一体感。
私の樹状突起から放たれるシナプス小胞が彼女のレセプターにピッタリと収まっていくとさえ感じる程に。
やがて ゆっくりと抜きかけると入り口付近から もう一度彼女の奥底まで沈める。
「ん~ん!」と声にならない声が私の耳元で発せられる。
そして私は動物の如く腰を振り始めた。
その度にヌチュッヌチュッと聞こえてくる音のやらしさは2人の世界を更に深い穴へと押し進めた。
ピストンの動きに合わせてアンアンと悶え続ける彼女を更に狂わせようと腰をグラインドさせる。
背中に回された腕に力が入って
「んあっ!! そっ・・それぇ・・・」
と期待以上の反応に私も応え 汗だくになりつつグラインドを続ける。
「もーダメ、壊れちゃうぅ」
と言うところで抱き着いたまま彼女の耳に舌を入れ、逆側の耳には指を入れた。
私の耳には悲鳴のような喘ぎ声がつんざき、その直後 子宮がグッと降りて来るような圧迫感があった。

3度目のオーガズムを迎えたが私の腰は一瞬たりとも止まらない。
一旦は落ち着きかけた彼女の喘ぎ声もすぐに乱れ 両腕は私の背中にしっかりと回されている。
汗がじっとりと浮かぶ頬をゾロリと舐めると私は上体を起こした。
すんなりと背中から離れた腕は自分の乳房を掴んでいる。
純粋が故の貪欲さは見ていても嬉しくなる。
上体を起こすと陰茎が膣の天井側、Gスポット周辺を強く圧迫するため彼女の喘ぎ後に拍車がかかった。
それに合わせピストン運動を続けながら 親指で軽くクリトリスを刺激すると
「ア"ア"ア"ア"ァァァァーッ!!」
と、奇声を発し これ以上無理という程に首をのけ反らせた。
ギュウと彼女の中が締まり、今度は私が耐えられなくなりそうだ。
『私もイキますよ』と告げると
「きてぇ!」と呼応する彼女。
再び彼女に覆いかぶさり、頭を掴んで唇に吸い付いた。
ここにきて初めてのキスだが、反射的にお互いを貪るように舌を激しく絡ませた。
「ん"ん"ん"ー」と唸った彼女の舌が止まった・・・
それと同時に彼女の奥で私は大量の白濁液を放出した。
あまりの快感に腰がビクンとなるが、そのまま数回ピストンを続けて私は果てた。
死んだようにグッタリとする彼女を抱きしめ続け 頬に額に首筋にキスをしながら頭を撫でた。
 
やがて意識を取り戻したかのように
「死んじゃうかと思った」と一言漏らした彼女に
『ちゃんと蘇生させます』と、面白くも無い直球な返事をしてしまったが、それでも彼女は嬉しそうにニコッと笑ってくれた。
 
しばらく抱きしめていると半分ほどに力を失った陰茎がズルリと抜け落ちた。
彼女の足を揃えるように伸ばしてあげると、私は後戯に移った。
太腿をソフトに揉み 腹部にはキスの嵐、胸は優しく撫でながら首筋に口を這わせた。
「ふ~~」と心地良さげにしている彼女を確認し、腕枕をすると広くない施術台に並んで寝た。
鼻が付きそうな至近距離で見つめ合っていると 彼女の方からガバッと抱き着いてきた。
さっきまでとは上下逆の体勢で彼女を抱きしめ 耳元で
『とっても素敵でした』と囁いた。
返事が無い代わりに彼女の抱き着いている腕にグッと力が入る。
また泣かせてしまうか?と心配したが それは杞憂だった。
しばらく間を置いてから
「先生も素敵でした」と言ってくれた。
何か言いたかったけど上手く言葉が見付からなかったようだ。
彼女の頭を軽くポンポンとすると
『全身ドロドロです、シャワーで綺麗にしてあげますから一緒に行きましょう』と告げて ゆっくりと体を離した。
滑らないよう足首から先をタオルで丁寧に拭いてあげる。
彼女を立たせると自然と手を繋いで歩きかけた。
2~3歩で彼女が
「あっ・・先生のが流れ出ててきた」と言うので
『そのまま垂らしながら行きましょう』と提案した。
すると繋いでいた手を離されたので 失言だったと後悔したが 下を向いたまますぐに腕に絡みつくように組んできた。
表情は見えないが食べてしまいたくなるような羞恥心だ。
全裸で歩く2人のペタペタという音だけが妙に心地いい。
 
シャワールームに入ると どちらからともなく見つめ合った。
同時に抱きしめ合い 唇を重ねる2人。
先程のがむしゃらなキスとは違い お互いを愛おしいと思うキスだ。
彼女の柔らかな体、スベスベの肌、まだ冷めやらぬ熱気の匂い。
 
「先生のがお腹に当たってます」
彼女と体を合わせていると幸せと同時に興奮も沸き上がって来るのだ。
『スミマセン、制御出来なくて・・・』
「謝罪は先生も禁止です」
ふふっと意地悪そうな笑みを浮かべた彼女は私の胸に軽く噛みついて お腹に刺さるように突き出た肉棒を両手で優しく包んだ。
もしかしたら被虐だけでなく、Sな面も持っているのかもしれない。
すると彼女が跪いた。
『まだ洗ってな・・』と言い掛けると
「先生の体も汚い所なんてありません」と制された。

軽く亀頭を口に含んだ彼女は周囲に舌を絡ませ ドロドロとした唾液と共に口の奥まで咥え込んだ。
思わず "うっ" と声が漏れてしまう。
それにしても彼女の口はどうなっているのだ。
まるで唾液ではなくローションを分泌しているかの如く ヌルヌルとした快感が脳の奥まで広がる。
そして伝わって来る彼女の想い。
私の足の後ろまで手を回し 自ら喉奥まで咥え、時に嘔吐きながらも懸命に私に奉仕してくれる姿は愛おしいと言う他ない。
『ダメです、そのままされたら私は・・・』
静かに体を擦り合わせるように立ち上がった彼女は私にキスをすると 無言で後ろを向き、こちらにお尻を突き出した。
彼女に抱き着くと肩や背中にキスをして はち切れんばかりに硬くなった陰茎を後ろから当てがった。
グリュッという感触と共に、2度目の体内への侵入。
身長差のため、私の方は少々不格好な体勢になるが彼女の快感が最優先だ。
指が食い込むほど丸いお尻を鷲掴みにする。
打ち付ける腰が感じる弾力は言い表す言葉が見付からない程に官能的で 私も彼女を堪能する。
両腕を前に回すと乳房とクリトリスを同時に愛撫した。
狭いシャワールームに悲鳴のような喘ぎ声が反響する。
 
程なく2人は頂点に達し、彼女はその場にヘタリ込んだ。
寄り添い、しばらく抱きしめながら頭にキスをした。
トロンとした目で見上げる彼女。
そして今日何度目かのキス。
 
『癒すはずが疲れさせてしまいましたね』
「こんなに気持ちのいい疲労感は初めてです」
どちらからともなく笑った。
 
『立てますか?今度こそ綺麗に洗ってあげます』
滑らないように支えながら立たせてあげた。
適温のシャワーを出すと足元から徐々に上へと掛ける。
良い子にして待っている園児のように真っ直ぐ立っている彼女の可愛さたるや もう誰の目にも触れさせたくないと感じる程だ。
『首を洗うから上を向いて下さい』と言うと キュンと上を向き、自然と目が合う。
一方的に洗われている姿が妙に恥ずかしくなったのか ギュッと目を閉じたので洗いながらニップキスをした。
「先生って、時々いたずらっ子みたいですね」と言って、また2人で笑った。
 
全身を綺麗にし終わると
「今度は私が洗ってあげます」と彼女がシャワーを取った。
仄々とした時間だ、さっきまでの時間が嵐のように。
 
シャワールームを出てバスマットの上で彼女を拭いてあげる。
タオルでゴシゴシされてる小柄な彼女は まるで子猫をお風呂に入れた後かのようだ。
彼女も同時に私の体を拭きだしたので、まるで競うようにお互いを拭き合いクスクスと笑った。
 
『またお茶を煎れて来ますので、あちらで待ってて下さい』
彼女の体にタオルを巻いてあげた。
「はい、分かりました」と行儀のいい返事。
 
今日は疲労回復効果のあるローズヒップティーを煎れる。
お茶を持って戻ると、なんとバスタオル姿のままで座っているではないか。
まるで私の心理が読まれているかのように。
私も腰タオルのまま正面に座ってお茶を出した。
 
『すぐ飲めるくらいの温度です』と勧めると素直に口に含んだ。
「これ私の好きなお茶です♪」
『それは良かった』と穏やかな空気の中、2人でお茶を飲んだ。
 
落ち着いたのか自然と世間話のような流れになった。
どれほど話していただろうか、少し外は暗くなり始めている。
 
『体が冷えない内に服を着ましょうか』
「はい」
『1つ小さなお願いがあるんですが』
「・・・何でしょう?」
『私が服を着させてあげたいんです』
と言うと ぇ?と意外そうな表情を見せたが返事を待たずに私は籠を取りに行った。
 
替えの下着はバッグから出してもらった。
ピンクと白をベースにした彼女らしいガーリーな下着だ。
『私の肩につかまって下さい』と言うと片足を上げた彼女にショーツを履かせてあげた。
ブラはフロントホックだったので、回り込まずに正面のままで。
『ストッキングを履かせますので、台に腰かけて下さい』
それは必要以上に撫でまわすように履かせた。
「先生なんだかやらしい~」
『え?今頃わかったんですか?』と惚けると爪先で肩をツンとされた。
『どっちがいたずらっ子なんだか』と言うと また2人で笑った。
 
ワンピースのファスナーを上げると、来院した時のように凛とした彼女に戻っていた。
私も手早く元の白衣を着る。
『今回は持って帰って頂く物があります』
彼女は「???」と小首を傾げている。
私は小さな箱を渡した。
「何ですか?これは」と当然の疑問を投げかけられた。
『これは次回、来院する前に開けて下さい。別にその前の夜でもいいですが』と告げると四方八方からしげしげと眺めている。
「えーなんか気になります」
『ダメですよ、次回のお楽しみですから』と言っても
「無理です、気になって眠れなくなりそうです。せめてヒントだけでも!」
と、元から大きい目を更に見開いて聞かれると言わないわけにはいかなくなる。
 
『えーとですね・・・これには次回、着て頂く衣装が入ってます。それとメモが』
「衣装・・・ですか?」
『はい、服の下に着て来れる物ですから大丈夫ですよ』
「ん~、先生の着て来て欲しい物なんですね。わかりました♪」と笑顔を見せてくれた。
『信用して頂けて嬉しいです』
「とっくにしてますよ。今頃わかったんですか?」と、すねたような表情でポンッとお腹にグーパンチをされた。
また足元をすくわれた感じだ。
こんなに馬の合う人も初めてだと感じる。
 
私は大事なことを思い出した。濡れると透ける下着の件だ。
『そうだ、聞きたかったことが一つあるんです。今日の下着は以前から持っていたんですか?』
すぐに意図を察知したのか、彼女は顔を赤らめながら
「えーっ それ答えないとダメですか?」と、躊躇っている。
私は彼女の両肩に手を置き
『はい、私には大事な質問です』と大真面目な顔で聞いた。
「持っ・・・ていました」
今日一番の赤面だ。
「もー!先生って本当に時々イジワルです」という彼女を思わず抱き寄せキスをした。
舌も絡ませない純愛のようなキスの時間だった。
 
彼女は下を向いて
「帰りたくなくなっちゃうじゃないですか・・・」と私の胸の中で切ない言葉を口にした。
『すみません・・・』
「謝罪は禁止なのに謝りましたね。先生、ペナルティー1つですよ」と言うと一歩下がってクルリと背を向けた。
無理に作ったような笑顔を見せ彼女はドアを開けた。
『帰り道、気を付けて下さいね』と言うのが精一杯だった。
もう一度同じ笑顔を見せてペコリとお辞儀をする彼女を見送った。
 
自分でも驚くほど寂しい気持ちに襲われた。
また来週会えるというのに、まるで二度と会えないかのような寂しさだ。
最後にもっと気の利いた言葉を掛けられなかったのかと自分を責めたが 私は待つしかない。
きっと彼女も寂しさを堪えてるに違いないのだから。